タイ抑留n日目…まだか、夜明けは…

泰国抑留四百十八日

 あの決定的な渡航から、既に一年超経過している。

 

 本来なら、そう、本来なら、もう日本で新居を定め、久しくハンドルを握る事のできなかった鬱憤を発散させるべく、過ぎた夏と迫る秋の合間、北関東あたりで爽快なドライブに興じているはずだ。ソニックマニアでOrbitalもリアムもスクエアプッシャーも見れたはずだ。UltraでUnderworldの公演も見れたはずだ。

 

 それがだ、それがどうした、この有様は?

 

 一年前と変わらず、午前六時前に飛び起きて、早朝からワゴン車に詰め込まれ一時間超、延々洗濯板のような路面で首を痛めつけられ、朝から厄介事だらけのオフィスに縛り付けられ、昼はクソ不味い飯を食わされ、夜は惨めな渋滞で仕事疲れの体を更にズタボロにされている。

 一年前と変わったのは、体重と飲酒量だ。前者は減って、後者は増えた。食欲の出ない昼飯に連日辟易し、鬱憤と不満と疲労をアルコールでごまかしている。きっと日本に帰って健康診断受けたら、精密検査になるだろう。

 

 最早ここでやりたいこともなければ、行きたいところもない。

 そんな土地で生きるのは苦痛だ。

 

 今やスマホで帰国後の部屋探しとカーセンサーばかり見ている。帰る頃には牡蠣が食える時期だ。運動不足だし千葉の山にも登りたい。きっと快適な気温だ。

 日本に帰ってやりたいこと、行きたいところは山ほど出てくる。

  

 早く帰りたい、心から。